日曜日にアサヒビール大山崎山荘美術館に行ってきました。
この美術館、元は「加賀様のお屋敷」と言われた、関西の実業家の邸宅だったところで、テラスからは桂川、宇治川、木津川が合流して淀川になるところが遠くに見え広大なお庭が美しい素敵な美術館です。
ここで今やっているのが「和巧絶佳展 ―令和時代の超工芸という展覧会」
その出展者の一人である現代アーティストの舘鼻(たてはな)則孝さんの講演を聞きました。
ふだんあまり作家の話を聞くことはないのですが、作品を作る時の考え方などがわかって、ふだん自分で使っていない部分が刺激されました。
舘鼻さんの創作活動の源となっているのが「リシンク」という考え方
過去の日本文化を見直して現代にどのように表現するかを追及していらっしゃいます。
将来は世界で勝負すると決めた10代の時に「日本の文化を知らないと世界で太刀打ちできない。自分の武器は何かと考え、日本文化のプロフェッショナルを自分の武器として身につけていこうと思った」という話が印象的でした。
芸大の卒業制作で、江戸時代の花魁(おいらん)の高下駄のこっぽりをヒントに作ったヒールレスシューズ(かかとのない靴)が、舘鼻さんのアーティストとしての原点になりました。
このヒールレスシューズがレディーガガのスタイリストの目にとまり、舘鼻さんはレディーガガの専属のシューメーカーとして、キャリアがスタートしたのです。
このヒールレスシューズは舘鼻さんの代名詞となりました。
今回の展覧会でもたくさんのヒールレスシューズが展示されていますが、それらはすべて、日本各地で育まれてきた伝統工芸や手仕事とコラボをしながら独自の表現で生み出されたもの。
古くて最先端のアートです。
これだけ科学技術の進歩が早いと、つい新しいものにばかり目が行きがちですが、私たちは幸いにも二千年以上の歴史を持つ日本に生まれたのです。
昔の考え方や文化のいいところも今の時代にあう形で取り入れていったら、ふだんの生活にもちょっと彩りが加わったり、新しい視点が生まれたり、生活が豊かになりそうですね。
12人の若い作家の古くて新しいアートが競うように展示されているこの美術展は12月5日まで開催されています。
https://www.asahibeer-oyamazaki.com/tokubetu/